スピノサウルスは泳いでいた?

白亜紀のアフリカにすんでいたスピノサウルスは、全長15mにもなり、背中に大きな帆をもつ獣脚類(じゅうきゃくるい)の史上最大級の肉食恐竜です。
大きさだけなら、ティラノサウルスをもしのぎますが、その円すい形の歯は、魚を食べるのに適しており、おもにサメやシーラカンスなどの魚を食べていたと考えられています。

スピノサウルスの、新たに見つかった化石をCTスキャンして、その立体構造をくわしく調べたところ、スピノサウルスは、いままで考えられていたよりも、もっと水中生活に適応した体をしていることがわかりました。

鼻の穴は、あごの上のほうについていて、水の中にもぐっているときでも、空中にだして呼吸ができるようになっていました。
また、いままで考えられていたよりも、体の重心が前にあり、より前かがみの姿勢をしていたようです。そのため、陸上で二本足で歩くことは、難しかったかもしれませんが、水の中で、水の浮力にたすけられながら、二足歩行をすることはできたでしょう。
後ろあしには、水かきがあったと考えられており、泳いだり、泥の上を歩いたりするのには向いていました。また、尾は柔軟で、ひれのように動かして、泳いでいたかもしれません。

スピノサウルスは、およそ100年前に化石が見つかった恐竜ですが、新しい化石の発見と、コンピューターによる化石の復元技術の進歩により、その生態がよりくわしくわかってきたのです。

■関連:「恐竜」130-133ページ