真っ黒こげのカプセルの謎

写真提供:NASA


宇宙飛行士の若田光一さんを無事に地球に帰還させた、ロシアの有人宇宙船「ソユーズ」。
今回は地球にたどり着いたカプセルを、くわしく観察してみたいと思います。

カプセルは釣り鐘(がね)のような形をしていて、高さは約2.1メートル。大男の身長よりも少し高いほどの大きさです。中には3人の宇宙飛行士が乗ることができます。
それでは、表面をよーく観察してみましょう。何か気づきましたか? 表面が黒いですね。実は真っ黒こげになっているんです!

なぜカプセルは真っ黒こげになったのでしょうか?
写真提供:NASA


いきなりですが、空気入れで自転車のタイヤをふくらませたときのことを思い出してみてください。タイヤや空気入れが少し熱くなりませんでしたか? 実は気体を急に圧縮すると熱くなるんです。また、スプレーを噴射したあとに、缶が冷たくなりませんでしたか? これは急に気体を膨張させたので温度が下がった例です。
ソユーズのカプセルが地球に戻ってくるときには、1秒間に7㎞という高速で空気に突っ込みます。そのときにも、カプセルの進行方向の空気が急に押しつぶされるので熱くなります。その温度はなんと千数百度! だからカプセルが真っ黒こげになっていたんですね。
このように宇宙から地球の空気に高速で突っ込むことを「大気圏再突入」と呼んでいます。
最後に、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルが大気圏再突入したときの、美しい写真を紹介します。
これは、突入したときの激しい光が夜空をいろどった“人工の流れ星”です。
写真提供:JAXA

■関連:「宇宙」142-151ページ