世界でいちばん大きなザリガニ『タスマニアオオザリガニ 』はくさ〜いものが大好物!?

世界でいちばん大きなザリガニ『タスマニアオオザリガニ』。
前編に引き続き、後編では『タスマニアオオザリガニ』の生態についてご紹介します。
おりゃー!とハサミをふりあげていかくしてくる。はさまれたらケガをしそうだが、動きはあまりはやくない。
タスマニア島でザリガニの研究を続けているウォルシュ博士によると、タスマニアオオザリガニはクサいものが大好物だという。だから捕まえるときに使うのはイワシのカンヅメ。しかもフタを開けて何日もほったらかしてくさらせたモノ!それをワナに入れて川にしずめておくと、巨大なザリガニが次から次に捕れる(※ただし、研究の以外の目的で捕まえてはいけない)。他にも生きた魚や小さな生きものはもちろん、水中にしずんだ落ち葉や枯れ木まで食べるという。くいしんぼうというか好ききらいがないというか…。
左上:くさったカンヅメをエサにしておびきよせる。鼻がまがりそうなほどクサいぞ!!
右下:カニ用のトラップでつかまえる。エサにつられて中に入ると出られないしくみになっている。
またこのザリガニはとても長生きで、20年生きているものはザラなのだとか。中には50年以上も生きるものさえいるというからおどろきだ。ただでっかいだけじゃなく、いろいろな個性を持った生きものなんだなぁ。
若いザリガニを捕まえたウォルシュ博士「こいつはベイビーサイズだな!」えっ、これで!?
しかしそんなタスマニアオオザリガニたちは今、絶滅しかけているという。
今から60年ほど前は、タスマニアのあちこちに巨大なオオザリガニがゴロゴロいたという。あんなのがゴロゴロ!?なにそれドラ○エの世界?
しかし、それが今ではたった数本の川、しかもほんのかぎられた場所でしかその姿を見ることができなくなってしまった。タスマニアオオザリガニの身にいったい何がおこったのか…?
水中で息をひそめるタスマニアオオザリガニ。
なんと、人間が捕まえつくしてしまったのだ。しかもその理由は「食べるため」!
タスマニア島のお年よりに話をきくと「タスマニアオオザリガニは海のロブスターなんか目じゃないくらいおいしい!」となつかしそうに言う。そんなにおいしくて、そのうえ大きくて食べごたえもあって、そのうえかんたんに捕まえられるなんて…。なるほど、いなくなるまで捕りつくされるのもわかる気がするな。
大きなハサミには肉がたっぷりつまっていて、昔はタスマニアの人たちにとってとびきりのごちそうだったとか…。
しかしこれじゃあいかん!ということで20年くらい前に法律でタスマニアオオザリガニを捕まえることが禁止された。
そのおかげでタスマニアオオザリガニは人間に捕まることがなくなり、少しずつだけれどその数をふやしはじめているとウォルシュ博士はうれしそうに話してくれた。

…それが何十年後になるか、はたまた何百年後になるかはわからないけれど、またタスマニア島の人たちがこの「川のロブスター」を堂々と食べ、子どもたちが巨大ザリガニ釣りをして遊べる日が来るといいなあ。…でもそのときは、もう捕りつくしたりしないようほどほどにしてほしいね。