2018.07.06
世界一大きなゴキブリ!「ヨロイモグラゴキブリ」を探すべく、
前回の記事では”巣”らしきものを発見!

▲巨大ゴキブリのうんこの下を掘るとナゾのトンネルが!げんこつくらいすっぽり入るぞ。
掘ることおよそ10分間。深さ50センチほどのところで何かが動いた。
指をつっこんでさわってみると……カタい!まるでカブトムシのような手ざわりだ。
つまんで引きずり出そうとすると、指先をグイッと押しのけられる。めちゃくちゃ力が強いぞ!なんだこいつ!?

▲出た!これがヨロイモグラゴキブリだ!! 台所で見かけるあのゴキブリにはあまり似ていない。キモチ悪さもぜんぜん感じなかった。むしろかっこいい。
ズルッ!ガサガサッ!と音を立ててトンネルの奥から出てきたのは…でっかいカブトムシ?…じゃなくてダンゴムシ?
いいや!これがヨロイモグラゴキブリだ!大きすぎる。大きさは8センチほどだが、ゴキブリとは思えないほど体がぶあつく、重い。ついでにガッチガチにカタい。甲虫みたいだ。
なるほど!ヨロイを着たようにカチカチで、モグラのように穴を掘るからヨロイモグラゴキブリか!
<家族でくらすゴキブリ!?>
ヨロイモグラゴキブリはとてもおもしろい習性をいくつも持っている。
まず穴をほってくらすというのも台所にいるあのゴキブリたちとはぜんぜんちがうよね。昼間はトンネルの奥にひそみ、夜になると地上へ出てエサを集める。主食はユーカリの落ち葉で、他にも雑草やくさった木の実などいろいろなものを巣穴に持ち帰って食べている。巣穴の周りに落ち葉がなかったのはこういうワケだ。
エサを地上から巣へ持ち帰るあたりはモグラというよりアリみたいだね。

▲ヨロイモグラゴキブリは子育てをすることでも知られる。捕まえると子どもたちはみんな親のそばに集まる。かわいい!
アリみたいといえば、このゴキブリは親子で同じトンネルに住む。親が子を守って育てるのだ。
あるていど大きくなってくると、子どもたちは親の元をはなれて自分の巣穴を持つようになる。そして何年もかけて成虫になり、結婚相手を探してまた子どもを育てる。昆虫としてはとても長生きで、10年近く飼われた記録もあるそうだ。

▲穴をほるために脚はケラやフンコロガシのように太くみじかく、むねはブルドーザーのように反ってかたくなっている。
そして何よりの特徴はそのパワー! 乾季にはコンクリートのようにかたくなるオーストラリアの大地を掘り進めるだけあって、そのうでっぷしの強さは昆虫とは思えないほど。トンネルの中では捕まえてもガッツリふんばって出てこないし、それどころかその場で新しい穴をゴリゴリ掘って逃げる始末。写真を撮ろうと手でつかめば、グイグイと指の間を広げて脱出する。
なんだこのゴキブリ! でかい上に強くて家族思いとか! カッコよすぎ! 大好き!!

▲手でつかんでも、無理やり指をこじ開けて脱出される。こんなにパワフルな昆虫っている!?
<※世界一大きなゴキブリはほかにもいるよ>
実は「世界でいちばん大きい」とされるゴキブリはいくつかある。体の長さではアフリカのマダガスカル島にいるものがヨロイモグラゴキブリをわずかに上回るし、翅の長さも計算に入れるなら南米の森に住んでいる種も候補に入る。しかし、体重という点ではこのヨロイモグラゴキブリがぶっちぎり。もちろんパワーも。彼らこそゴキブリ界の横綱なのだ。
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平坂寛(ひらさかひろし)
1985年、長崎県生まれ
幼少の頃より動植物に強い興味を持ち、「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲している。
「生き物は面白い」ということを多くの人に伝えるために学生時代から生物専門のライターとして活動を開始。
ウェブサイト「Monsters Pro Shop」編集長。
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価格:価格 1,900円(税別)
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生きものはなぜ巨大になるのか? どうして、空を飛ぶ生きものがいるのか? なぜ、毒を持っているのか? 極限の環境にはどんな生きものがいるのか?
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伊藤弥寿彦 漫画:安斉俊
価格:本体 1200円(税別)
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深海のふしぎ「追跡! 深海生物と巨大ザメ」
DVD収録時間
24分
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価格:本体1200円(税別)
ISBN:978-4-06-299956-4
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