目が四つある!! …ってマジ? 『ヨツメウオ』
2018.12.21

南アメリカに『ヨツメウオ』という魚がいる。
目が四つある魚という意味の名前だが、それは一体どういうことだろう。
たとえばヤツメウナギの仲間は名前に『八つ目』とついているがそれは六つあるエラの穴が目のように見えることからつけられたものだ。
ヨツメウオもそんな、なんちゃって四つ目なのだろうか?

▲ヨツメウオがくらしている川。海水が混じっているのでちょっとしょっぱい。岸にはマングローブがしげっている。
というわけで、やってきました南アメリカにあるガイアナ共和国の港町。
ヨツメウオは海へそそぐ川の入り口、海水と淡水がまじり合うところ(「汽水(きすい)という)にくらしているという。
カにさされながら橋の上から川をながめていると、水面をヘンな魚がむれているのが見えた。
なんとカエルのようにプクッととび出た目玉を水の上に出して泳いでいるのだ。まるで橋の上のぼくを観察するように。
こんな変な泳ぎかたをする魚はアイツしかいない。ヨツメウオだっ!!

▲水から目だけ出して泳ぐ魚たちが。ヨツメウオだ!
さっそく捕まえて四つ目の正体をつきとめなければ!
まずは釣りでチャレンジしようとエサを投げこむ。しかし!オモリが水に落ちる「ドボン!」という音におどろいたヨツメウオたちはいっせいに岸にむけて逃げだしてしまった。かなり怖がりで用心ぶかい魚のようだ。
だがさらにおどろいたことに、逃げたヨツメウオたちはそのままオットセイのように水からとびだし、ドロの上に上陸したのだ!ええっ!?おまえらムツゴロウみたいに水の外でも活動できるのかよ!

▲水の中が危ないと察するとカエルのように陸へ上がる。なんでもアリだなおまえら!
ならば手づかみにしてやる!と岸辺へとびおりると、今度はふたたび水中へダイブ!なんなのもう!!
やっとこさ捕まえたヨツメウオ!さて、ホントに四つ目なのか!?
それでもどうにかこうにか一匹ゲット!!
さあどんな顔してやがるんだ!?ホントのところ、おめめはいくつだ?
目は…二つだな。…でもやっぱり四つある…!
どういうことかというと、目玉はたしかに二つだけ。しかし、黒目の部分が銀色の膜で上下にしきられているのだ。だから黒目だけ見るとたしかに四つ目。
なるほどナゾがとけたな。

▲大きな目が銀色の膜で上下にしきられている。これがヨツメという名前の元になったのだ。
▲正面から見るとなんともブサイク…じゃなくておもしろい顔をしている。見た目も暮らしもステキな魚だ。
思い出してみてほしい。あの目玉を水上につき出した泳ぎかたを。あれは上空や陸上だけを見ていたのではない。水の中も外も、その四つの目で同時に見ていたのだ。
下の目で水の中を見て、大きな魚などが泳いでいたら陸に逃げる。上の目で上空や陸を見て、水鳥などがあらわれたら水中にもぐる。というカンペキな作戦。
うーん、すごい進化をとげた魚もいたもんだ!
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平坂寛(ひらさかひろし)
1985年、長崎県生まれ
幼少の頃より動植物に強い興味を持ち、「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲している。
「生き物は面白い」ということを多くの人に伝えるために学生時代から生物専門のライターとして活動を開始。
ウェブサイト「Monsters Pro Shop」編集長。
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