馬をもたおす!? アマゾン最強・最恐の魚『デンキウナギ』<前編>
2019.01.25

<アマゾンでいちばんヤバいやつ>
アマゾン!! 地上でもっともたくさんの生きものたちに出会える南アメリカのジャングルだ。
動物も植物も、かぞえきれないくらいの種類がここにはくらしている。……そしてそれだけ、アブない奴らもたくさんひそんでいる。

▲アマゾンのヤバい生きものといえばピラニアなんかが有名。だけどもっともっとすごいやつがいるぞ!
ジャガー、毒ヘビ、グンタイアリ…。危険生物の多さから『緑の地獄』とまで呼ばれるアマゾン。ここでは水の中でも油断はできない。水中にだってヤバいやつらがいるのだ。
それはナイフのようにするどい歯を持つピラニア? 体の中にもぐりこんで肉を食べるというナマズ、カンディル?それとも巨大なワニ? ……いやいや。アマゾンでいちばん恐れられているのはそういう『かみつく』やつらじゃない。『電撃をはなつ』という超能力を持った魚、デンキウナギだ!

……なにそれ?電気?おまえポケモンの世界から来たのか?
さらに古い言い伝えには川を渡ろうとした馬がデンキウナギをふんづけて感電、ひっくりかえっておぼれてしまったという話もある。
馬を……!?川にすむ魚があんなに大きな動物をたおすなんて本当だろうか?本当だとしたらとんでもない力だ。これは……。捕まえてみたい!感電してみたい!!
<デンキウナギは目が悪くてどんくさい>
というわけでデンキウナギをハントしにアマゾンへGO!しかしデンキウナギなんてどうやって捕まえる?見つけても素手で飛びかかったら水中で感電するだろう。馬がひっくりかえるのなら、僕なんてもっとひどいことになるはずだ。死ぬかも。
じゃあ長ーい網ですくってみる?いいや、デンキウナギはデカい。体の長さは1メートルにもなる。たぶん網には入らない。
……デンキウナギは人々に恐れられる生きものだが、弱点もある。かれらは目が悪い。たぶん、明るさくらいはわかるだろうが、物の動きなどはほとんど何も見えていないはずだ。

▲デンキウナギの目はとても小さく、あまりものがよく見えていないようだ。
彼らは目で見るかわりに弱い電気を体から出してレーダーとして使う。つくづくすごい能力だが、ここを利用する。こちらが見えていないなら、ギリギリまで近づける。
デンキウナギはエラ呼吸だけでなく、口から直接空気を吸う空気呼吸をおこなう習性がある。つまり水面から鼻先を出して息つぎをするのだ。
だからいつも、すぐに息を吸えるよう浅い水辺にいる。見つかるはずだ。
……探し回ること7日間。岩の陰にヤツはいた。体は真っ黒で、腕より太い。巨大な電線のようだった。
顔はこちらを向いているが、やはり僕のことは見えていないらしい。手を伸ばせばとどく距離までゆっくりと近づく。そして伸ばすのは手ではなく……釣りざお。
糸の先には細かくきざんだピラニアの肉をつけた釣りばりが結んである。デンキウナギはレーダーだけでなく鼻も使ってエサを探す。ならこのピラニアを目の前に落としてやれば……!
「パクッ!」
思ったとおり、食いついた!!

自分が釣られたことに気づいたデンキウナギは逃げようと体をくねらせて暴れまわる。…しかし、なーんか力が弱い。同じくらいのサイズのオオウナギやウツボだったらこんなもんじゃない。糸がちぎれそうなくらい大暴れするはずだ。なのにデンキウナギときたら……。一瞬で勝負がついた。岩の上でモタモタとどんくさくのたうつデンキウナギ。しかしこのどんくささにも理由があったのだとのちに知ることになる。
後半へ続く…!
次回は、このデンキウナギに触ってみる…!の巻。
お楽しみに!
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平坂寛(ひらさかひろし)
1985年、長崎県生まれ
幼少の頃より動植物に強い興味を持ち、「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲している。
「生き物は面白い」ということを多くの人に伝えるために学生時代から生物専門のライターとして活動を開始。
ウェブサイト「Monsters Pro Shop」編集長。
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